当六兵衛ブログの7月11日の日記『古い流行歌』にも書いて
いるように、六兵衛が夜 寝る時の子守唄は
インターネットラジオ「ポッドキャスト」番組が飽きたので
古い流行歌に変えた。
六兵衛が以前 作っていた「大衆娯楽小説は文庫本で」というブログの中の
2012年の夏の頃に「さし絵」として掲載していた121作目のカット絵。
無料再生アプリ『OPlayer Lite』を「iPad」にダウンロードし
その中に多くの古い流行歌(昭和の戦前の歌や戦後でも
せいぜい昭和30年代頃まで・・)を保存して、朝まで流すの
だが、そんな流行歌の中に 驚くような歌が混じっていた。
それは、昭和29年にキングレコードで制作された
『東京ジプシー』という歌。
作詞:横井弘 作曲:江口夜詩 歌:江口泰代
1)
銀座の銀座の 屋根裏に
生まれてジャズが 子守唄
ビルの谷間の 青空に
親は誰かと聞いたけど
雲が流れて 行くばかり
東京ジプシー ひとり者
2)
酒場の酒場の あの娘
髪に情けの 紅薔薇(べにローズ)
同じ流れの 身だとても
寄せてくれるな 白い頬
辛い涙が 増すばかり
東京ジプシー ひとり者
3)
来る日も来る日も 鼻唄で
暮らす巷の 渡り鳥
何をくよくよ 泣いたとて
昨日は昨日 明日は明日
投げるダイスの 風まかせ
東京ジプシー ひとり者
この歌のモデルは、その見事な肉体と踊りの芸で戦後の混乱期
に、永井荷風や林房雄、船橋聖一といった作家達を虜にし
版画家の棟方志功も「彼女の肉体は神である」と讃えたほどで
和製モンローともいわれ、ストリップの女王といわれた
芸名をジプシー・ローズ(本名:志水敏子)という
実在したストリッパーだという。
音楽にはド素人の六兵衛だから、専門的な事は分からないが
この歌を歌っている江口泰代という女性、力強さを感じる声量
で、聴かせるなぁと思っていると、突然 異様な裏声に変わる。
しかも その裏声までもが力強い。
元の声に戻ったかと思えば、また 裏声になったりする・・。
六兵衛が古い流行歌を多く聴いていて、特に昔の女性歌手は
高音になると裏声で発声する人が多いように思うが
しかし、これほどの力強い裏声を聴くことは あまりない。
例えば、ブルースの女王といわれた淡谷のり子さんの裏声も
強くはっきりと歌われていたように記憶するが
この『東京ジプシー』を歌う江口泰代さんの裏声は
突然 気が狂ったか・・と思えるほどの、異様な声なのだ。
以前にも当ブログで取り上げた事があったと思うが
六兵衛の大好きな ちあきなおみさんが歌う『夜へ急ぐ人』
(作詞・作曲:及川かずきさん)という歌も、気が狂ったのか
と思わせる 奇妙な笑い(叫び)には驚いたが・・
今回の『東京ジプシー』を歌う江口泰代さんも
それとは また別の異様さを感じさせる歌声である。
この江口泰代という歌手が どういう人なのか、ネットで
ググってみたが、残念ながら分かった事は わずかしかない。
昭和8年 東京生まれ、この歌(東京ジプシー)の作曲家でも
あり、生涯4000曲を超える作曲をし、古賀政男とは
終生のライバル関係にあったという作曲家・江口夜詩とは
父娘だとの情報もあるが、確かなことはわからない・・。
江口泰代さんの他の歌を調べてみたが『大島むすめ』という
昭和31年にキングレコードから発売されている曲 以外を
見つけることは出来なかった。
余談だが・・
2002年に桑田佳祐さんが、「ROCK AND ROLL HERO」
というアルバムの中に『東京ジプシーローズ』という曲を
入れている。
英語の歌詞が多くて、ほとんど意味は分からないし
こういうタイプの歌は、どうにも苦手だし
名前はジプシーローズだが、同じ女性なのかどうか
わからない・・。