当六兵衛ブログの1月2日の日記「謹賀新年」にも書いたが
「外付けHDD」に保存している松竹映画「男はつらいよ」の
全48作を、ほとんど毎夜のように 寝る前に1作品ずつ順番に
「iPad」で再生して観ている・・昨夜は 第33作目を観た。

第2作目以降の『男はつらいよ』は、基本的にパターン化され
た場面も多く、それが 内容によっては やや食傷気味に感じる
こともあったりするが、何より寅次郎と 個性豊かで魅力的な
多くのマドンナとの絡み具合が、寅さん映画の面白さとなって
飽きられもせず、50作品 近くも 長く続けられてきたのだろう
と思う。
そんな寅さん映画には、名の知れた主役級の役者さんの出演も
さる事ながら、名前さえ知られていないような俳優さんも
数多く出演されている。

例えば・・「とらや」の裏の「朝日印刷」で働く職工役の
笠井一彦さん。
この俳優さんは、山田洋次監督の映画によく出演されていて
『幸せの黄色いハンカチ』では、島勇作が運転する車を止めて
寒そうな仕草で検問する警官の役だったり
『遙かなる山の呼び声』では、涙なくしては語れない この映画
の最後のシーン、主人公の田島耕作が二人の刑事に汽車で連行
される場面の、若い方の刑事役で出演もされている。

例えば もうお一人、谷よしのさんという女優さんがいる。
ご近所さん、行商の花屋さん、通行人、寅さんが旅先で泊まる
安宿の中居さん 等々、数多くの役で寅さん映画に出演されて
いて、台詞はあったり無かったりである。
そして もう一つ 気になるのは、「とらや」の真向かいにある
「江戸家」という店だ。
時に 「とらや」のおばちゃんが、「江戸家」の店番をしている人
と『暑いねぇ』などと、日常の挨拶をしたりするが
それ以外は ほとんど「江戸家」が物語に絡むことはない。
店先には白文字で「江戸家」と書いた赤い暖簾が掛かっていて
団子や煎餅などを売っている店のようだ。

そして「とらや」の店先での場面などには、向かいの「江戸家」
で店番をしている様子のおばさんや、時には おっちゃんが映って
いて、そして いつもの様に「とらや」の店先で騒動が起きると
やや遠くだからか ぼやけた映像ながら、店番をしている「江戸家」
の住人が、その騒動の成り行きを見ていたりする・・。

その「江戸家」の事については、映画の中では ほとんど語られて
いないが、ただ1度 第30作目の「花も嵐も寅次郎」のなかで
朝丘雪路さんが「江戸家」の娘(桃枝・寅次郎の幼馴染)役で
出演し、『寅ちゃんは いいわね 気楽で、私も一人になりたい』
などと、寅次郎との再会を喜ぶ場面があったが
物語の進行とは あまり関係がなかった。

但し、実際の帝釈天参道には「江戸家」という店はないようで
映画の中の架空の店舗らしい・・。
六兵衛は今夜も iPadシアターで、寅さんと一緒に
素敵なマドンナに出会える夢を 見るのだ・・。