『北町奉行所捕物控』を再読

長谷川卓さんの文庫本『北町奉行所捕物控』(ハルキ文庫)全8巻を、再読用の本棚から取り出して、再度 読み始めている。

その『北町奉行所捕物控』シリーズの第3巻「毒虫」の196ページにある文章の一文字に、鉛筆で「○」印が付いていた。

六兵衛の購入する文庫本は 全て中古本である。
六兵衛が読む前には誰か必ず一人は、その文庫本を手にとって読んでいるわけで、この「○」印も 前に読んだ人が標したものと思われる。
文庫本に印刷された文章が、本来なら「蓑助」となるべきところを「蓑吉」と間違ってしまっている。
「校正作業」の段階で見落とされたのか、「植字」の段階で間違ったのか ともかく、六兵衛より前に読んだ人は間違いに気付いたのだ。
だが 何となく、そのまま見過ごすことも出来ず、せめて「○」印を付ける事で自分を納得させたのではないか・・と、想像をする。
六兵衛など「○」印がなければ、その誤字に気が付く事もなく読み進めていたことだろうが・・。