つれいが日赤病院で点滴治療を受けている間、いつものように六兵衛は 病院の近所を散歩をしたり、中庭の見える待合室で文庫本を読んだり、あまり手入れの行き届いていない中庭の木々を見ながら過ごしている。
1ヶ月ぶりに待合室に座って、雑多に植わっている中庭の木々の中に、桜木などに絡みついて蔦を伸ばしているアケビが目についた。
そして まだ青い「実」が、あちこちに ぶら下がっている。
秋になり、熟れたきた実が割れると、白い果肉と たくさんの黒い種子があり、果肉は ほんのりと甘みがあった。
六兵衛が小学生の頃に遊んだ山里の、懐かしい食べ物である。