宵の明星


以前 きーポケが作っていた『大衆娯楽小説は文庫本で』というブログに
「さし絵」として掲載していた2011年晩夏の頃の75作目のカット絵。

 

地震被害による我が家の修復作業は 今

階段まわりやリビングなどの、ひび割れたボード板を取り替えて

新しいクロスを張り替える作業に取り掛かってもらっている。

 

その日の作業が終わり 職人さんが帰り

つれあいと二人の夕食の時

まだ作業は途中のため カーテンを外したままの

リビングのテーブルから 窓ガラス越しに

暗くなった西の空を見ると

一つだけ宵の明星が明るく輝いていた。

 

普段なら夏場のこの時期の夕食時といえば

冷房をするためにカーテンを閉めているから

金星など見ることもない。

 

やはり 当然

工事中のゴタゴタとした どこか落ち着かない夕食時の

しかし 案外こんなことも

何気ない喜びの ひとつでもあえる・・。

男達がくる・・

ジャ ジャ〜ン

 

男達が来る前に、せめて朝食は済ませておかなければ・・と

老夫婦は考える。

だから、男達がやって来る前に

二人して食べ終わった食器を片付け

テーブルを元の状態に戻して・・

さあ 急いで、老夫婦二人の部屋へ戻ろう。

 

ジャ ジャ〜ン

 

朝 男達が やって来る。

これから一日、老夫婦二人は1階の玄関横の8畳ほどの部屋で

本を読んだり、スマホやiPadを見ながら気分を紛らわし

大きな音は出来るだけ立てず

静かにその日が暮れるのを待つのである・・。

 

ジャン ジャン ジャ〜ン

 

日暮れとともに男達が帰っていく・・。

静かになった我が家で、やおら老夫婦は

1日中 暮らした1階 玄関横の小部屋を出て

キッチンで手際よく夕食の用意をし

リビングにテーブルを出して食べ物を並べ

二人して350mlの発泡酒を缶のまま

今日も無事 1日が終わった事に乾杯し

食事を済ませ

再び1階 玄関横の部屋に帰り

後はただ もう眠るのみ・・なのである。

 

ジャン・・?

 

修復工事をしてくれている大勢の職人さん達・・

暑い中 毎日 ご苦労様です!

ありがとう!

矢でも台風でも もってこ〜い!!

台風19号と20号が連なって日本列島を襲う勢いだ。

 

今より少し前の 7月の29日の未明に

三重県辺りに上陸した台風12号は、いつもとは逆の

東から西へと進路をとりながら近畿地方を通り過ぎた。


以前のきーポケのブログ『大衆娯楽小説は文庫本で』に「さし絵」として
2012年初夏に掲載した120作目のカット絵。

 

先の大阪北部地震で壊れた我が家の屋根の一部の

一時的な雨よけのたのに覆ってもらっていたブルーシートが

その台風12号の強風によって、あっけなく飛ばされてしまった。

後日 再度 ブルーシートをかけ直してもらった数日後の8月8日

地震被害にあった我が家の本格的な復旧作業が

まずは足場組み作業から工事は始まった。

 

ただ 大阪北部地震や中国地方等の大雨による災害が その後も

続いたため、工事作業者の方々の人手が不足なうえに

毎週のように現れる台風までもが

我が家の復旧作業が思うように進まない原因にもなっている。

 

それにしても 今年に限らず 近年の台風の状況は

どっか おかしい。

 

大体 日本に台風がやってくるのは

季節が秋になった9月か10月頃に・・ってのが

これまでの常識ではなかったか。

秋なんて もう少し先なのに

台風だけは もうすでに20号までが

日本列島の目の前まで来て

我が家に組んだ足場の防御ネットを

激しく揺らそうと企んでいるのだもの・・・。

仕舞屋侍シリーズ・第4作 「夏の雁」

・・すると お曾良は、

記憶のなかに大切に仕舞っていた言葉をとり出し、

とり出した言葉を懐かしむように、

『 優しい父でした。母は敏と言います。』と

語りはじめたのだった。

『父が、敏、と 母の名を呼んで、これをどうするのだ と訊ねる、

母が ああしてくださいとか、これは こうするのです、と答え、

父が、わかった、と 遣りとりを交わすのです。

父と母の何気ない普段の遣りとりを聞いているだけで、

私は、いつも ほっとした気持ちになったものです。

父と母の穏やかな、そんな遣りとりが聞こえただけで、

ああ よかった、と 思ったことを今でも覚えています。

言葉には言いつくせないくらい、とても安らかな気持ちでした』

きーポケが 今 もっとも新作を楽しみにしている作家

辻堂魁さんの「仕舞屋侍シリーズ」の第4作

「夏の雁」の文中の一説である。

辻堂さんといえば、何より『風の市兵衛シリーズ』が最高だろうが

他の作品も甲乙つけがたく面白いのだ。

 

岩槻藩勘定方の下級藩士が、上役や同僚藩士らの罠にかけられ

汚名を着せられたまま殺された。

後に残った妻と幼い兄妹は藩を追われ

極貧の暮らしの中で 病気になった母を失い

残された幼い兄妹は離れ離れに暮らさざるをえなくなる。

幼くて その意味さえわからないまま別れ行く妹を

兄は 別れをおしみ

どこまでも どこまでも追いかけて行くが・・。

 

こんな場面に出くわすと、どうにも泣けて 泣けて・・。

つれあいが『・・泣いてるの?』と、なかば からかい気味に

聞いてくる。

 

はじめに書いた文章の一説は、兄と別れた妹・曾良が27年後

仕舞屋を生業とする九十九 九十郎に

兄を探してほしいと依頼をしたときに、曾良の幼い頃の

優しかった父母の思い出などを語った話の一節である。

 

久しぶりの文庫本

6月18日の大阪府北部地震の日から

何となく 文庫本を読もうという気持ちになれなかった

きーポケだったが

数日前から読み始めている。


以前に作ったきーポケのブログ『大衆娯楽小説は文庫本で』に「さし絵」として
2011年に掲載した70作目のカット。

 

10日ほど前、「断捨離」での文庫本の始末を付けながら

まだ未読の海外のサスペンス小説を手に取ったとき

読んでみようかな・・という気持ちになったから

いつでも読めるようにと身近な所に その文庫本を置いていた。

 

何年か前に中古のネット通販ショップで購入していたが

きーポケにとって海外の小説は 何となく取っ付きにくい

思いがしていて、だから購入はしたものの

未読のコーナーに積まれたままになっていて久しかった。

こんな時だからか、ちょっと 読んで見る気になって

数日前から読み始めた。

上院議員殺害の嫌疑がかけられているマフィアの弁護士の

自殺する場面に出くわした11歳の少年は

死の間際に聞いた恐ろしい秘密の情報を打ち明けられ

マフイアに狙われはじめる。

1ドルで少年の弁護を引き受けた中年の女性弁護士と共に

二人は 巨大な権力に追われることになる・・という

アメリカのサスペンス小説『依頼人 (上・下巻)』

ジョン・グリシャム 作(新潮文庫)だ。

 

暑さの せいか・・

今年の夏の 特別の暑さのせいか・・

震災後の後片付けや ついでに行っている断捨離のせいか・・

毎日 夕食が終わった頃には なんとなく眠たくなってくる。

 


以前に作っていた きーポケのブログ『大衆娯楽小説は文庫本で』に「さし絵」として
2010年の夏に掲載していた13作目のカット絵

 

7時半か 8時ころには、古い i Pad2から流れる

ポッドキャストの放送を聴きながら眠るのが

ここのところの毎夜の習慣になっている。

 

ゆうべも8時までには眠りについた・・。

フッと目が覚めて枕元の時計を見ると

まだ その日の夜の11時過ぎ・・。

だいぶ眠った感覚だったのに、まだ今日か・・。

ふと『タバコを吸いたい・・』と思った。

 

タバコを止めて何年になるだろう・・。

5年を過ぎたあたりまでは数えていたが・・。

禁煙をすると決めた何年か前の9月26日の夜の

眠りにつく前に最後の1本を吸ったことは覚えているが

それが何年前だったかは もうどうでもいい・・。

 

今でもタバコを吸いたいと思うことは よくある。

いろいろな状況下で タバコを吸うイメージを思い出す。

だから いまだにタバコを吸いたいと思うきーポケは

禁煙中なのである。

 

補修工事 始まる

いよいよ 震災後の補修工事が今日から始まった。

まず 屋根や外壁の修復工事の為の足場組み作業にかかる。

・・とは言うものの、屋根屋さんは なかなか手が空かず

外壁 内壁などの作業から始まるのかもしれない。

 

過去のブログ『大衆娯楽小説は文庫本で』の 2011年夏に掲載した62作目のカット絵

 

作業をしてくれる職人さん達には

この異常とも云える暑い中の作業には

まことに申し訳なく思うが、水分を十分に摂取って

やすみやすみ作業に取り掛かってもらいたいものだ。

 

 

暑い日が 続く・・

暑い!

毎日が 暑い!

今年は特に異常気象で 暑い!

などと・・そんな真夏の この時期の ありふれた愚痴言葉など

使うまいと思うが、やっぱり 暑い!

 

我が家の地震による被害の修復工事の目処が

やっと立ちそうになってきた。

もう少ししたら 修復作業が始められるかもしれない。

 

地震によって処分せざるを得なくなった家の内外の諸々と

この際だからと、「断・捨・離」の意識をもって

地震とは無関係な諸々までをも 処分することにした。

きーポケも 特につれあいも よく頑張った。

とりあえず第一段階の大まかな「断捨離」は

終わろうとしている。

 

あの地震から約1ヶ月半・・

突然やって来た あの恐怖や感覚が

時間とともに少しずつ鈍くなって来ている。

良いことか 悪いことか

忘れてはいけない・・とも思うし

忘れないとやって行けない・・とも 思う。

 

あの日以来 一度も開いていない文庫本・・。

あの時 本棚から崩れ落ちた文庫本。

とりあえず 一時的に買い物袋に入れていたのだが

ちょっと整理分別しようと手に取ってみた。

なんとなく読みたいような気分になってくる。

何年か前にネットで購入したが

読まずに本棚に置いたままになっていた新潮文庫の

ジョン・グリシャム作『依頼人(上・下)』という相当昔の

海外サスペンス小説が まず目に入ったので手元に残した。

 

それから4、5日 過ぎたけれど、まだ

文庫本『依頼人』・・読み始めて いない。