入院中のつれあいは、無菌室(クリーンルーム)に入っている。
面会は コロナ禍ということだけではなく、無菌室ということも
あって、布のカーテンと透明のビニールカーテンとで面会者との
あいだを二重に遮断して、面会は布のカーテンを開けただけで
透明のビニールカーテン越しでしか向かい合うことが出来ず
その上 建前として面会時間は、約15分と決められている。
六兵衛が まだ幼い頃の1950年(昭和25年)に制作された
『また逢う日まで』という映画が あったらしい。
岡田英次さんと久我美子さんの主演で、監督は今井正さん。
映画の内容は、戦争によって引き裂かれた恋人たちの姿を描き
戦争の残酷さを訴えている・・という映画だったようだ。
そして特に この映画のワンシーンが、戦後 間もない時代の
大きな話題になったという。
それが、愛し合う二人のガラス越しのキスシーンだ。

六兵衛が面会を終えて帰るとき、透明のビニールカーテン越しに
二人でハイタッチをして・・

『また あした・・』
『ありがとう・・』
・・そんな会話を交わしながら、 病室を後にする。