次回にまわす・・

先日、当ブログに長谷川卓さんの文庫本「​​​​​​​​​​北町奉行所捕物控」を再読用の本棚から取り出して読んでいる・・と書いた。

その「​​​​​​​​​​北町奉行所捕物控」シリーズ 全8冊を 先日 読み終えたばかりだが、今度は同じ長谷川卓さんの代表作ともいえる「嶽神シリーズ」の ”逆渡り”(講談社文庫)を、やはり再読用の本棚から取り出して再読した。

「嶽神シリーズ(全13冊)」は、武田や上杉が熾烈な戦いを繰り広げる戦国時代の上信越あたりで、主君を持たず、国や村などの人里から遠く離れた奥深い山中に集落をつくり、自分たちのルールに従いながら自由に生きる「山の民」の物語だ。

物語 『逆渡り』は、五~六年に一度、新たな場所に集落を作って ”渡り”(移動)を繰り返す山の民が、六十歳になると 男でも女でも、新たな渡りには一緒に連れて行かず、置き去りにされる(姥捨のようなもの)という、厳しい暮らしゆえの習いがあった。
山の民・四三衆(しそうしゅう)の月草は、『あの山桜の下で妻の墓を守りながら最期の時を迎えよう、構ってやれなかった償いとして・・』と、五十七歳のとき、残りの人生は、山桜のあった元の集落に戻り、妻の墓を作り守っていこうと決め、六十歳を前にして 仲間から離れ、二十年前に皆で” 渡り” で去った遠い山奥まで帰ろうと、厳しい山野を独りで 逆に ”渡り”、妻と約束した地へ向かう。
その道中には、思いがけない善意もあれば、信じがたい裏切りや我欲が待ち受けていて、命をかけた戦いが続く。

題名の ”逆渡り” とは、放浪の「山の民」が生きていくために、皆で新たな地に ”渡る” のではなく、死に向って一人で ”逆に渡る” 過酷で危険な ”逆渡り” のことをいう。

長谷川卓さんは4年ほど前に亡くなられている。
もう長谷川さんの新しい小説は読めない・・そんな想いもあったのか、今日のブログは 長谷川卓さんの文庫本『嶽神列伝・逆渡り』の事を書くつもりではなかったのだが、ついつい 込み上げてきて、だらだらと書いてしまった。

 

本当は、この文庫本『嶽神列伝・逆渡り』を読み終えて、奥付のページも終わった残りの数ページに、その出版社から出ている本の宣伝のページがあるが、その宣伝本の中に『神楽坂』という本がある事に気がついた。
本来なら この『神楽坂』の事を書こうと思っていたのだが、長谷川卓さんの「嶽神シリーズ」の話が長くなってしまったので、『神楽坂』という本の話は次回にまわす事にする・・。