五瓣の椿

新潮文庫から昭和39年(1964年)に初版が発行され

平成24年には第67印目となる山本周五郎さんの文庫本

『五瓣の椿』を、中古本にて読み終わった。

tubaki

「五瓣の椿」は、文庫本が発売されたと同じ1964年に

野村芳太郎監督、岩下志麻さん主演(松竹映画の配給)で

上映されていたのは記憶している。

その映画「五瓣の椿」が作られた頃の六兵衛はといえば

日活の吉永小百合さんの青春映画ばかりに夢中になって

いる頃である。

しかし、六兵衛の3つ上の兄が 岩下さんのファンだったので

六兵衛も多少の影響を受けていて、だから岩下さんの可憐な

印象は強く残っている。

この小説を読んでいても、映画は観ていないのだが

主人公の「おしの」のイメージが、若き頃の岩下さんに

重なってくる。

そして、今では滅多に会うこともなくなった兄との

遠い昔の懐かしい思い出が蘇ってくる小説でもあった。

 

その岩下志麻さん、それより前の1958年にNHKの

テレビドラマ『バス通り裏』に、十朱幸代さんの友人役で

出演していたという。

バス通り裏

2年後の1960年には『乾いた湖』(松竹配給)で

映画デビューをし、1962年(昭和37年)には

小津安二郎監督の最後の映画となる「秋刀魚の味」にも主演

されている。

秋刀魚の味

 

 

前置きが長くなったが、この物語は若い娘の復讐の話である。

「おしの」の最愛の父・喜兵衛が死んだ。

大店に見込まれて婿に入って以来、遊びもせず身を粉にして

働いた身体は、労咳に蝕まれていた。

一方、家付き娘の妻「おその」は、夫を避けて遊興にふけり

男を連れ込んでは不行跡を続けていた。

そして「おしの」は母親から喜兵衛の子でないと教えられる。

実の子ではないと知りながら、父の自分への愛情を思ったとき

母「おその」と、母と一緒に父を苦しめた男たちに

罪を償わしてやると「おしの」は強く復習を誓う。

そして、『妻「おその」に一言だけ言いたいことがある』と

言い残して死んだ父と、母と若い役者が酒を飲み抱き合って

眠っている家に火を放ち、「おしの」は何処かへ去った。

映画・五瓣の椿

1年後、「おその」と不幸跡をしていた男たちが

次々と殺されていく。

男らの死体の傍らには、一片の椿の花びらが落ちていた。

父・喜兵衛が子どもの頃に悲しいことがあった時など

椿の花を見て慰められたと話していたという・・。

 

 

覚悟しーや!

女優 岩下志麻さんは、その後の映画「極道の妻たち」で

『覚悟しいや!』などと、凄みのある演技をこなしている。

六兵衛の兄が そのセリフを聞いて、果たして どんな覚悟を

したのだろうか・・。

もちろん 兄に、聞いた事はないのだが・・・。