音声検索

隣に座っている つれあいが、何かを言った。

『えっ?・・なんや・』と きーポケが聞き返す。

 

いつ頃から だったか、二人だけの我が家の居間で

ときどき こんなやり取りが起きる・・。

特別 きーポケの耳が聞こえなくなっているわけではない。

 

 

つれあいが「iPad」を使いだして7,8年になる。

2年ほど前に「iPhone」を購入し、その後の日常に

文頭に書いたような、会話とも云えないやり取りが起き始めた。

 

今でこそ きーポケが『何か言った?』と、つれあいに聞き返す事は

その理由が分かってからは 少なくなったものの

以前には そんなやり取りが 頻繁に起きていた。

 

何のことはない つれあいは、「iPad」や「iPhone」に

「音声」での検索をしていたのだった。

 

まぁ きーポケにすれば、隣に座っている つれあいが何か喋れば

きーポケへの話しかけか、声の大きな独り言のように思っても

間違いではないだろう。

 

そんなような 間の抜けたやり取りを、何度も繰り返して

やっと この頃になって、きーポケへの話しかけではない事が

その声のトーンで分かるようになってきた。

 

 

それにしても しかし、きーポケの知らない間に つれあいが

そんなシャレた操作が出来るようになっていたなんて・・。

無機質ともいえる「iPad」や「iPhone」に

何のこだわりもなく あっさりと

語りかけられる つれあいが・・すごい。

 

Appleの「Siri」や Googleの「OK google」等などの

「音声検索アプリ」は沢山あるようだが

きーポケは いまだに音声での検索をしたことがなく

文字入力ばかりの検索なのである。

 

抜けた歯の多い きーポケが喋った言葉を「iPad」や「iPhone」が

まともに理解してくれる自信は無いし

第一、「iPad」や「iPhone」に 語りかける自分を考えると

自分自身で照れくさく思うのである。

 

つれあいは そんな きーポケに云う。

『自意識過剰よ・・』と。

 

あぁ〜、反論  出来ない・・。