「YouTube」にアップ

映像は暗く、焦点は ぼけて、おまけに四隅が切れていて

その全体を観ることは出来ない・・。

そんな見にくい映像ながら、六兵衛が望んでいた映画が

「YouTube」にアップされた。

 

川端康成さんの小説が原作で1963年(昭和38年)制作の

吉永小百合さん主演、日活映画『伊豆の踊子』である。

六兵衛が高校生の時、田舎の映画館で観た懐かしい映画だ。

たとえ見にくい映像でもアップしてくれた方に感謝である。

 

その映画から3、4年後の六兵衛が二十歳の頃に、踊子たちが

歩いた天城の道を歩いてみたくなって 歩いた事がある。

東京から電車に乗って修善寺でおり、そこから下田方面へ歩く。

天城峠の山道を過ぎた辺りで、日も暮れ始めたので

河津川の河原に下り、石のゴロゴロした河原の大石の影で

野宿をした。

次の日の早朝、歩き出して少しすると、ちょうど湯ケ野の

小学校へ登校中の小学生たちと一緒になり、何気ない話を

しながら学校近くまで歩いた記憶がある。

 

思えば映画の中では、「物乞い 旅芸人 村に入るべからず」との

立札のある集落を旅芸人たちが通るとき、子供たちが寄って来て

『太鼓を叩け』と旅芸人をからかう、そんな場面もあった。

差別の厳しい時代だったのだろう・・。

 

軽薄で単純で、何もなかった六兵衛の若い頃には

日活時代の吉永小百合さんの青春映画は

光って見えたものだ。

『愛と死をみつめて』や『泥だらけの純情』など

田舎の映画館に何度も通った。

明るい青春映画『青い山脈』や『赤い蕾と白い花』等々

吉永さんが出演された多くの映画の中には

当時の六兵衛からみると、輝く青春があって

単純に そんな世界が憧れの対象であった。

浜田光夫さんとの共演が特に多かったと思うが

たまに、吉永さんの相手役が変わることがあった。

その中の一つに、「伊豆の踊子」があった。

相手役の旧制 一高の学生は 高橋英樹さんだった。

 

映画の中のワンシーン・・

旅の途中で親しくなった旅行中の学生と旅芸人一座。

学生が泊まった宿に、親しくなった旅芸人の一座が風呂を

借りに来た・・

踊り子と学生が約束をする・・。

「風呂から上がったら碁をやりましよう」

 

風呂もそこそこに、急いで出てきた踊り子が学生の部屋に

戻ってくる。

踊子が部屋の真ん中に碁盤を運び・・

「私は白、あなたは黒」

「碁なんて何処で覚えたの」

まず踊り子が盤面の真ん中へ白石を置く、それを見た学生が

「なんだ、五目並べか・・」

「(当然のように・・)そうですよ」

 

『伊豆の踊子』の映画は、これまで数多く制作されていて

戦前には田中絹代さん、戦後になると美空ひばりさん

鰐淵晴子さん、内藤洋子さん、山口百恵さんなど

多くの女優さんたちが踊り子役を演じておられるが

六兵衛には やはり、吉永小百合さんの踊子が一番だと

思えるのである。

 

有料動画配信サイトの会員になれば、きれいな映像で

好きなだけ観られるのだろうが、それでも六兵衛は

会員になろうとは思わない・・。

六兵衛の、お粗末な こだわり?である・・。

 

そして あと1本、「YouTube」にアップされるのを心待ちに

している映画がある。

吉永さんと浜田光夫さん主演の『泥だらけの純情』だ。

 

真美(吉永)が、好きになったチンピラの次郎(浜田)に言う

セリフがある・・

『やめられません? ヤクザ 。』

 

『泥だらけの純情』・・乞う アップ!

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