石蕗(つわぶき)

だいぶ以前、誰も住む者がいなくなってしまった遠い故郷の

木々の陰の薄暗い墓のそばに咲いていた「つわぶき」を

つれあいが我が家に持ち帰り、庭に植え替えて久しい・・。

冬の石蕗

 

俳句の季語にでも使われそうな、寒い冬の 雨の 一日。

雨の石蕗

 

そんな俳句や詩情などという感性などとは無縁の六兵衛でも

晩秋の寂しくなった庭に 少々の華やかさを残してくれていた

石蕗(つわぶき)の黄色い花に感謝である。

 

しかし 本気の冬がやって来ると、黄色い花はタンポポの

ような綿帽子となり、風に吹かれて飛んでいく。

今では 晩秋になると「つわぶき」の黄色い花が

庭のあちこちに見られるようになった。

石蕗のわたぼうし

 

「つわぶき」の花言葉を調べると、『困難に負けない』と

『謙遜』だという。

今の日本に限らず 世界の情勢を見ても・・

強いものが ますます強くなろうとし、身勝手に弱者を切り捨て

わがままを押し通している。

今、強いとされる者の「謙虚」さが、もっとも大切だろうし

決して「困難には負けない」と思う弱者の強い意思を

言い表している「つわぶき」の花言葉である。

 

相変わらず軽薄な・・

朝8時前、食事後の歯磨きをしながら、西側の朝日の当たる

窓の外を何気に見ると、小学校体育館の裏手にある竹林の木の

枝に、何か小動物が止まっているのに気付いた。

?1

 

だいぶ以前にも、隣の家の庇の上に野猿が座っていたり

裏の「どんぐりの木」に、犬に吠えられたアライグマが

逃げて登っていた事など、この辺りには時々 野生の小動物が

現れるのだ・・。

もしかしたら何かの動物か・・と思い、とりあえず写真を写し

後でゆっくり検討をすることにした。

歯を磨き終わってから窓の外を見ると、その何者かは

先ほどと同じ姿勢で一向に動いた様子はない。

iPhoneで写した写真をパソコンに移動し拡大して見たが

どうにも それが何者なのか はっきりしない・・。

 

分かりやすくしたろうか・・な! おるやろ・・

?2

 

1時間後に確かめても、同じ姿勢で動いた様子はない・・。

ちょうど昼の12時ちょっと前に、もう一度 写真を写した。

 

朝の時と昼の時の光の当たる違いなのか、朝ほど はっきり

しないが、やはり何かが いるような影はある。

しかし 同じ姿勢のまま動いた気配がないわけで

何かおかしい・・と思い、ものぐさな六兵衛だが

その場所まで行ってみた。

 

・・・・・・・・・💧

錆

・・・し、しょうもない、アホみたいな話や。

フェンスの金網の一部が黒くサビていて、遠くから見たら

何かの形に見えた・・と、誠に お粗末な結末である・・。

 

それにしても そのフェンスのサビは、昨日今日 出来たわけ

でもないはずなのに、なぜ今朝に限って小動物のように見え

たのか・・?

 

太陽の光の強さや、射し込む その角度によって見え方が

変わったのだろう・・と、そんな理屈で

己の軽薄さを慰めるしかない・・・のである。

 

蓮鶴

梶ようこさんの文庫本『蓮鶴』(祥伝社文庫)を読んだ。

 

蓮鶴

 

京都 近江屋で坂本龍馬と中岡慎太郎が何者かに暗殺される

場面から物語が始まったように、時は幕末 大政奉還後

徳川家親藩の桑名藩では、会津藩と共に薩長連合軍に対して

抗戦か恭順かで藩内は揺れていた。

そうした動乱の中で、翻弄される江戸藩邸勤めの速水丈太郎と

栄之助兄弟の葛藤を描いている。

物語自体は六兵衛好みではなかったのだが、表題にもなって

いる『蓮鶴』という「折り鶴」がある事を初めて知った。

 

江戸時代中期頃に 三重県桑名で作られ始めた折り鶴の一種で

一枚の紙で2羽から97羽まで、口や羽や尻尾とかが繋がった

ままの折り鶴で、この物語『蓮鶴』でも 兄弟や家族との

愛と絆を表しているのだと想像する・・。

蓮鶴絵
江戸時代の裕福な家庭で、折り鶴遊びをしている様子 (長圓寺蔵 映像提供桑名市博物館)

 

1枚の紙に切り込みを入れて、正方形をいくつも作り

それを折る事で、2羽から最高97羽まで繋がった蓮鶴が

出来るという。

 

蓮鶴例

 

 

試しに六兵衛も、最も簡単な2蓮鶴を折ってみた。

まず「紙」を用意する。

折り紙とか和紙とかの洒落た紙が手元に無いので

裏側をメモ用にと残していたA4の使い古しの紙を使用する。

2対1の寸法の紙を用意し、下図のように少し残して切る。

折進む

二つの正方形の紙を、それぞれに鶴を折っていく。

もちろん、蓮鶴の折り方のネット映像を参考にした・・。

 

不細工やけど、繋がったままの「蓮鶴」が出来た。

完成

 

鶴を折っていて、思い出した映像がある・・。

これまでにも何度か六兵衛ブログにも書いているのだが

六兵衛が高校生の時、田舎の映画館に何度も通って観た映画

「泥だらけの純情」である。

ヤクザと外交官のお嬢様の二人が愛し合うのだが

環境が違い過ぎるため、このままでは 必ず別れが来る。

二人は殺風景な安アパートを借り逃げる・・。

ラーメンを食べながら、歌を歌ったり、たわいもないクイズを

出し合ったりしながら 一夜を過ごした翌日

雪山で薬を飲んで二人は心中をする。

 

泥だらけ・宿

 

映画の最後、安アパートの殺風景な部屋には

二人が折ったきれいな折り鶴と、形の悪い折り鶴が二羽

ポツンとあって、『不器用だなぁ、オレって ・・』という

浜田光夫の声が流れ、映画は余韻を残して 終わる・・。

 

謹賀新年

ネットの動画共有サービスから、映像や音声を勝手に

ダウンロードするのは違法らしい・・とはいうが

六兵衛の2TBの外付けハードディスクには

どの動画共有サービスからだったかは忘れたけど

約280作品ほどの「映画」を保存している。

邦画もあれば洋画もある。

六兵衛が生まれる前の戦前の古い古い映画もあれば

2〜30年前の割と新しい映画もある。

そんな中には、綺麗な映像の映画もあれば

ボヤけていたり、画面の角が切れて小さくなった画面など

見づらい映像の映画もあったりする・・。

 

保存している主な映画には・・

『荒野の決闘』​​​​​​​​​​ジョン・フォード監督、ヘンリー・フォンダ 主演

『ローマの休日』オードリー・ヘップバーン、グレゴリー・ペック 主演

荒野の決闘・ローマの休日

 

『鞍馬天狗』嵐寛寿郎 主演

『二十四の瞳』木下恵介監督​​・高峰秀子 主演

鞍馬天狗・二十四の瞳

 

『独立愚連隊西へ』佐藤允・加山雄三 主演

『伊豆の踊子』吉永小百合 主演

独立愚連隊・伊豆踊り子

 

小津安二郎 監督の映画 笠智衆・原節子 他 出演

 

・・等々 とうとう 。

 

これだけの映画を保存すれば、観たい時に 観たい映画を

いつでも観られる訳だが、外付けハードディスクに保存した

ことで安心するのだろうか、せっかく保存した それらの映画

のほとんどを まだ観ていない六兵衛である・・。

 

何のために保存したんや・・と 改めて思い直し、保存して

いる映画の中から、まず始めに再生して観はじめた映画は

渥美清さん主演の松竹映画『男はつらいよ』全48作である。

寝る前に1作ずつをiPadで再生している。

 

​​1969年に第1作が公開され、1995年 公開の

「寅次郎 紅の花」​​までの全48作品だ。

(渥美さんが生で出演されている作品・・)

 

特に第1作の『男はつらいよ』には 泣けた。

ポスター

 

20年ぶりに柴又に帰ってきた寅次郎、妹・さくら(倍賞千恵子)

おいちゃん(森川信)、おばちゃん(三崎千恵子)と再会する。

妹・さくらが「とらや」の隣のタコ社長(太宰久雄)の印刷工場

に勤める諏訪 博(前田吟)との結婚式の披露宴で、挨拶にたった

博の父親(志村喬)に・・泣けるのだ。

注)博の父親は元北海道大学名誉教授。
研究一筋の仕事人間の父親に、博は反発し家を出て
再会したのは8年後の博の結婚式だった。

 

つれあいと共に挨拶に立った父親だったが

立ち上がったまま、しばらく言葉を発しない・・

辺りは ざわめき始める。

父親

 

それ以前から寅次郎などは、結婚式に出席した博の両親の

ニコリともせず ただ座っているだけの態度に不満が溜まって

いたのだ。

しばらくして やっと父親が挨拶の言葉を発し始める・・。

『・・・本来なら 新郎の親としてのお礼の言葉を申さねば

ならないところでございますが、わたくし共 そのような資格の

ない親でございます。

(博が『えっ』とした顔で父親を見る)

しかし こんな親でも・・なんといいますか、親の気持ちには

変わりないのでございまして、実は今日 わたくしは8年ぶりに

倅の顔を・・・。

 

皆さんの温かい友情と、さくらさんのやさしい愛情に包まれた

倅の顔を見ながら、親として・・わたくしは・・いたたまれない

ような恥ずかしさを・・・。

 

いったい わたくしは 親として倅に何をしてやれたのだろうか・・

なんという・・わたくしは無力な親だったかと・・・。

(めがねを外して涙や鼻水を拭く父親)

 

隣におりますわたくしの家内も 同じ気持ちだと思います。

 

・・・・この8年間、わたくしども二人にとって

長い長い冬でした。

そして今ようやく、皆様のおかげで・・春を迎えられます。

皆さん ありがとうございました。

さくらさん!博をよろしくお願いいたします。

(博もさくらも泣いている)

さくらさんのお兄さん!

二人のこと よろしくおねがいいたします。』

 

 

・・・もう、言葉は・・いらない のだ。